趣味とコレクション

よろしくお願いします!

ヤバイ奴

幽霊や心霊現象などは確かに怖いが実際、遭遇することはあまりない。僕自身、そういったものに遭遇したことは一度もない。

そう考えると、何よりも怖いのは幽霊ではなく人だと思う。


新宿駅の小田急線の始発の各駅電車に乗車した。

まだ発車まで15分ほどあった為、僕の乗った車両には誰も乗っていなかった。


それから3分ほど経ち、ある男性が乗ってきた。

ぱっと見た瞬間、目があった。その男性は何故かニヤニヤしており、僕は本能的な危機を感じた。


僕の本能は正しく、その男性は僕の隣に座ってきた。

そして、僕をじっと見ている。真横で

その車両には僕とその男性のみ。そして僕をひたすらに見つめている。

僕は正面の窓越しにその人の様子を伺っていた。


怖い。怖すぎる。なぜ隣なんだ?ゲイなのか?

席は空き放題だぞ。

この状況で隣に座るなんて、ドリンク1杯無料のサービスでお水を選ぶようなものだぞ。

お水なんて選択肢にないか…。

そう。隣に座るなんて選択肢はないのだ。普通は


僕は動いたら殺されるような気がして窓越しにその男性を観察することにした。


するとポケットに手を突っ込んだので身構えたが男は携帯を取り出したようだ。

そして視線を僕から携帯に向けた。


少しだけ安心した。しかし、まだ気は抜けない。


その男は携帯で女子アナウンサーの写真を検索していた。「細貝沙羅アナ 水着」


僕は再び気を引き締めた。こいつ、確実にやばい。

そして男性はゲイではないということになった。

更に疑問が募る。なぜ、俺の隣なんだ?


またふと携帯を見ると今度は「比嘉愛未 女優 水着」と今度は女優を検索していた。

なんとなくさっきのアナウンサーに似ている。

こういう系統が好きなのね。

そして水着フェチ。

少しずつこの男のことがわかってきた。


でも、こいつはやばいやつということに変わりはない。


その時、その男の携帯が鳴った。ピコン!LINEだ。

「仕事を始めたと聞きました。お母さんの体調はどうですか?」


その男は少し嬉しそうな顔で

「〇〇くんのおかげで頑張ることができたよ!」

「お母さんは元気になった!ありがとう!」

と返信した。


そしてお母さんのトークを開き、

「〇〇くんからLINEありました。〇〇くんは優しいね。」

「今仕事終わったから今から帰るね。待っててね。」と送信した。


おい。お前、水着フェチのくせに、良いやつじゃねぇか…。うるっときたぞ!もうちょっとで溢れるところだったじゃねぇか!


そしてLINEを閉じ、今度はなんと「葉加瀬太郎 画像」と検索した。


一気にドライアイになった。

カピカピに乾いた。


系統が違うぞ!お前の守備範囲イチローより広いぞ!

レイザービームで度肝を抜かれたわ。

せめて、水着と入れてくれ。いや、葉加瀬太郎の水着の写真はないか…。


やっぱりやばいやつだ。

いいやつかもしれないけどやばいやつだ。


気づいたら割と人が乗ってきていた。

正面の女性が怪訝そうな顔で僕を見ている。


いつの間にか僕の方が携帯を盗み見るヤバいやつになっていた。

×

非ログインユーザーとして返信する