スーパーでレジに並んでいたら、アルバイトの若い女の子が僕の前のお客さんの会計に手こずりすごく待たされた。
僕の番が来た時に「お待たせしてすみませんでした。」と謝られたがその顔があまりにも必死だったのでとてもかわいそうに思えた。
僕も大学生の頃、コンビニでアルバイトをしていたのでレジの大変さはよく分かる。特に慣れないうちはとんでもないミスをしてきた。
初めてお昼のシフトに入った時、その日は僕の働いていたコンビニの近くで工事があり、昼時になると大勢の工事現場の人が入ってきた。またその日は暑い夏の日で、工事の人達はイライラしており、とても恐ろしく僕は並ばれる前から嫌な予感がしていた。
そういう勘は当たるもので工事の人達はいっぺんにレジに並んできた。しかも最悪なことに隣のレジにおばあさんが宅急便を持ってきたため、僕一人でその人たちを捌かないといけない状況に陥った。
電子レンジをフルに活用するもどうしても時間がかかる。工事の人も休憩時間に限りがあるらしく、並んでいる間、ますますイライラしていた。その中でも特にイライラしている人がおり、先ほどから僕をにらみつけて舌打ちとため息でビートを奏でている。
温めの3分間が永遠に感じ、僕はプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。
すると、僕をにらみつけていた人が急に割り込んできて「ざるそばだから先に会計しろ」とレジにざるそばとお茶を投げ出してきた。あまりの形相に僕は震えあがった。
今、対応しているお客さんのを保留にして新規に対応すればいいのだが、なんせ入ったばかりでそういうものに慣れていない。手こずりながらもなんとか操作して保留にしたのだが手際の悪さに工事の人は怒りの頂点に達していた。その表情を見た時、僕は頭が真っ白になった。
そしてざるそばを縦に入れた。お茶と同じように縦に入れた。
すると「お前絶対わざとだろう!!」と胸ぐらをつかまれた。
もうそのあとのことは覚えていない。
店長が飛んできて謝っている姿をぼんやりと覚えているが、事が過ぎた後、「大丈夫だからら気にしないで。辞めるなんて言わないで」と言われたのでおそらく辞めようとしていたのだと思う。
そんな、経験を持つ僕が女の子に言った「大丈夫。気にしないで」はさぞ、説得力があったことだろう。