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野球が僕に教えたこと

僕は小学校から高校までの10年間野球をしてきた。

その中でも特に中学の練習がきつく、この3年間はほぼ毎日辞めたいと思っていた。

昼休み、帰宅部の友達に練習行きたくないと毎度のこと愚痴をこぼしてたら「じゃあ辞めろよ」と言われ、ぐうの音どころかチョキやパーの音もでなかったのを今でも覚えている。

ただ、それほどまでに辞めたいと思っていたのにも関わらず辞めなかったのはきっと辞めたら"あいつは逃げた"と馬鹿にされ、居場所がなくなると思っていたからだと思う。


そんな僕は先輩が引退し、自分の代になった時には本当に迷惑な部員になっていた。

あまりに手を抜くため、真面目なキャプテンに目をつけられていた。

ランニングのときに靴紐がほどけたと言って10分くらいかけて紐を結んでいたら後ろから蹴られたことだってあるくらいだ。

他にも練習中に生意気なエースが少し調子に乗っているところを顧問に見られ、「お前はこのチームの癌だ!」と一喝された後に、後からキャプテンが僕のところに来て「お前もだからな」と言われたのも覚えている。

その時確か「ステージ4やねん」と返したが無視されたはずだ。きっと僕のがエースに転移したんだろうなとその時思った。


そんな僕の唯一の楽しみは雨で練習が中止になることだった。

毎朝、天気と雲の動きを頭に入れていた為、クラスの友達から2組の天気予報士と呼ばれていた。


ある死ぬほど暑い夏の日、部室で練習着に着替えていたらいきなりゴォーっという音と共に大雨が降り出した。僕はすぐさま窓を開け、「キャプテン!こりゃ無理ですわ!!」と満面の笑みで叫んだ。するとキャプテンは「通り雨だからすぐ止む」といい、「行くぞ!」とみんなに喝を入れ勢いよく部室から飛び出した。


僕は驚愕した。この雨だぞ?しかも、天気予報士が無理と言っているんだぞ?

僕の頭の中に大江千里の"Rain"のサビが流れる。


"どしゃぶりでもかまわないと"

"ずぶぬれでもかまわないと"

"しぶきあげるきみが消えてく"

"ohhーーーーーーーー♪♪"


他の部員もキャプテンに続いて部室を飛び出す。

僕はすぐさまエースを呼び止めて「こりゃ無理だよな?」と聞いたら、「俺は行くぜ」と言い残し、僕を一人にした。今度は"格好悪い振られ方"が流れる。


"格好悪い振られ方"

"二度と君に会わない"

"大事なことはいつだって"

"一人にされて気がついた"



そう。僕は部室に残されて、気付かされたんだ。

みんな勝ちたいんだと。僕なんかが足を引っ張っちゃいけない。僕も部室を飛び出しみんなを追いかけた。そして、グランドに架かる大きな虹を見て、僕は決心した。もう遅いかもしれないけどちゃんとしようと。


3年。夏。ほぼ末期。

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