ワカメ事件
ワカメ事件
社会人になりお米を炊くようになった。
大学生の頃から一人暮らしをしていたのだがお米はあまり炊かなかった。
大学生の頃、一度、10キロのお米を頂いたことがあった。
そのお米をずっと放置しており、米袋を開けたとたん、小さな虫たちが大量に湧き出したことがある。
無数の虫たちがぼわあああと煙のように群れを成し飛び出してきた。
「うわあああああ」とたまて箱を開けた浦島太郎にも勝るリアクションで尻もちをついた。
あんなに思いっきり尻もちつくことはこれからの人生でもうないだろう。
そんな僕だったのだが、社会人になり、仕事から帰るとまず手を洗い、その流れでお米を研ぐ習慣ができた。成長だ。
そして、ここ最近、ハゲ対策として乾燥ワカメを炊飯器に入れて炊くようにしている。
今のうちに対策をしておかないとハゲでしまうのだ。
なぜかって?遺伝子が最強だからだ。
正月に母方の親戚が一同に集まり、僕は驚いた。ドラゴンボールが5つあったのだ。
父親はもうすぐ完成する。
そして僕で7つ目だ。
僕がハゲたら神龍(シェンロン)が現れる。
"さあ!願いを言え"
"か、髪をください"
これではもう遅いのだ!
「え?髪の毛どうしたんですか?」
「いや、これはちょっと…」
「カツラ?それとも植毛?」
「地毛だよ!神に髪をもらったんだよ!」って
余計、バカにされるではないか!ハゲる前に手を打ちたいのだ!
それでなんの話だっけ?
そう。ワカメをいれているのだ。
そして、今日、事件は起こった。
来年の歴史の教科書に載るであろう…
ワカメ事件だ!
いつものように右手にご飯茶碗、左にしゃもじ(左利き)を持ち、アツアツのワカメご飯をつごうとした。
その時!腕まくりをした右手の手首に激アツワカメがペトッと張り付いた!!!!
ぎぃぃあっつつつつつつつつつ!!!!
あっつ!ああっつ!あっつ石松!!!!!!!!
部屋で叫びながら腕を振ったがワカメの密着度は120%!!
120%というとプールから上がった直後のスクール水着と同等の密着度だ!
ついだご飯は吹っ飛ぶがワカメは取れない。
なぜこのワカメはこんなにも執拗に僕に抱きついているのか。
「女の子にも抱きつかれたことないのに!」(アムロ風)
すぐさま舌でワカメをすくい上げた。
ハアハアハア…。あまりの熱さに頭の中はワケワカメ状態。この一瞬で何が起こったのか。
手首に目をやると赤く染まっている。沸々と次第に怒りがこみ上げてきて僕の顔も赤く染まった。
許せねえ。このワカメは許せねえ。俺の髪の毛にならないかぎり許さない。
床にまき散らしたワカメご飯を見つめ拳を握りしめ叫んだ。
”もし、ハゲたら神龍(シェンロン)にワカメの存在消してもらうからな!”