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ヤックルとの思い出

高校生の頃、原付バイクで通学していた。


16歳で原付免許を取り、それからほぼ毎日バイクに乗って学校に行った。


僕は当時、ジブリ作品に熱中しており、自分のバイクに"ヤックル"と名付けて話しかけていた。


朝行くときには「ヤックル!」と行ってまたがり、「押し通ーる!邪魔するなぁ〜」と言いながらスロットルをフルに回していた。


アシタカのようになりたかったのだ。


ヤックルとの思い出はたくさんある。

中古で買った為、すぐ壊れ、冬はほとんどの確率でエンジンがかからない。

何度も何度もチャレンジしてやっとのことでかかったと思えば、信号で止まるとエンストする。という繰り返し。


青になっても進まないバイクを横目であざ笑いながら追い越していく車。

挙げ句の果には自転車にも越される。

屈辱だった。

僕の手に弓があればと何度思ったことか…。


これはまだましで、一度だけスロットルを戻してもスピードが減速しないというハプニングが起こった。


しかも、信号で引っかかってしまい、ブレーキを最大限の握力(25キロ)で握り、足で踏ん張るも、スズズズズとちょっとづつ前に進む。

ヤバい。ヤックルが暴走している。

「落ち着けヤックル!」と叫びながら踏ん張っていた。


そして、信号が青に変わった途端、グォンと初速60キロのスピードで猛発進!

一瞬後ろの車が見えるほど首がうねった。


これは本気でまずい。このままでは死んでしまうと思い、家にUターンして、家に着いた途端、ヤックルを地面になぎ倒しすぐ親を呼んだ。その間もタイヤがグルングルン高速で回っている。


「ヤバい!ヤックルが暴走した!スピードが落ちない!」と母親に言うと


「まず、エンジン切りなさい」

と冷静に言われた。


その手があったか…。流石はだてに半世紀生きているだけはある。

今まで幾度となく困難を乗り越えてきたのだろう…。感服した。


そしてその日は親に送ってもらい、ヤックルを修理に出し怪我なく終わったのだが、これがキッカケでブレーキが効かない夢をよく見るようになった。


アシタカのように僕も呪いを背負ってしまった。

別にタタリ神を殺したわけでもないのに…

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