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きのこ学

ちょうど3年前のこの季節、僕は「きのこ学」という授業を受けていた。


この「きのこ学」という授業はきのこの特性、種類などを学ぶというニッチな授業なのだがこれがなんとも人気の講義でいつも大勢の生徒が受けていた。


この日もおそよ500〜600人ほどが授業を受けていた。

もちろん授業は大学で一番大きな教室で行われるのだが、そこは講堂でコンサートが行えそうな造りになっている。


僕はその講堂の後方に座っていたのだが、ある生徒が一番後ろの壁に寄りかかって座っていた。


僕の周りの席はいくつか空いている。

そこにいたら怒られるのではないかと思っていると運悪く、先生が出席カードを配りに後ろの方に来た。


その生徒は携帯をいじっており気づかない。

やばい!と思った矢先、


先生が生徒に向かって吠えた。


「お前!そこで何をしている!」

「出ていけ!二度と現れるな!」


講堂内にいる全生徒が一斉に後ろを振り向いた。

前の席の人は立ち上がり見ている。


彼は600人の視線を浴びながら左手中央の扉出口に向かってトボトボと歩き出した。


僕なら恥ずかしくて後方出口から出るのに…


なぜ、左手出口に向かうのだろうと思っているとなんと!

何を思ったか出口扉の前で角度を90度変えて先生の目の前の席についたではないか!


先生も教壇に着き、さあ、授業を再開するぞと振り返ると目の前に彼がいる!


一瞬、時が止まった。

僕らは前のめりで大注目!!


「なぜ、そこにいる!!」

「帰れといっただろう!!」


先生も動揺が隠せない。少しひきつっているような気がする…


そしたら彼が

「授業受けたいです!」

「ちゃんと受けます。すみませんでした!」

と後ろまで聞こえるボリュームで言うではないか!


友人Yは隣で立って拍手をしている。


「でもあの人携帯しか持ってなかったぞ!」

「筆箱すら持ってなかったぞ!」

と僕がYを服を引き座るよう促したが


「やっぱあいつ、いいカウンターかましよるなぁ〜」と感心しきっている。

聞くところによると彼はボクシング部らしい…。


流石だ…。なんというメンタルの強さ!

僕らはきのこのことより大切なことを学んだ。

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